遠洋捕鯨はもうダメだろう

030508

 3月末に国際司法裁判所で日本の調査捕鯨に中止命令が出たが、日本政府はそれに対して「判決に従う」という談話を出した。おそらく政府も本音では、調査捕鯨をやめたくてしょうがなかったんじゃないだろうか。あれこれ工夫努力して継続しても、国際的な非難を浴びるばかりだしね。

 調査捕鯨については以前から「実質的な商業捕鯨だ」という批判があったわけだが、こうして海外から捕鯨反対の声が上がるたびに、「日本の食文化だ」「日本は有史以前からクジラを食べてきたのだ」とか、「白人の横暴だ」「日本差別だ」「欧米人だってかつてはさんざんクジラを捕っていたではないか」といった反論の声が上がってきた。でもこれは「調査捕鯨とは名ばかりで本当は商業捕鯨ではないか」という批判に対する反論としては、「語るにおちる」というやつだろう。

 「実質的な商業捕鯨だ」という批判に対しては、「そうではありません。これは純粋に科学的な調査なのです!」と反論するのがまず第一に必要だったはずだ。科学的な調査で、クジラについてあんなことやこんなことを調べたいと思います。そのためには海上からの目視調査や、発信機を使った追跡調査だけではなく、どうしてもクジラを捕獲しなければなりません。それによって、生態調査だけではわからない、このような学問的調査研究が進みます。クジラの研究は、捕鯨を行っていない国々にもこれだけの利益を生み出します。そんな「学問としての言い分」を懇切丁寧に解いた上で、最後に「捕ったクジラの肉については日本国内で有効活用します」というのが話の筋だろう。

 日本は国際的には、そうした主張をしてきたのかもしれない。でも日本のマスコミを通して聞こえてくるのは「日本の食文化を守れ!」だの「捕鯨を支えてきた地域の伝統文化を守れ!」みたいな反論ばかり。これは「クジラを食べさせろ」「食べるために捕らせろ」という主張に他ならず、言外に「調査捕鯨という名の商業捕鯨を守り抜け!」と言っているようなものではないのか。

 今回の国際司法裁判所の決定を受けて、いくつかの記事が「調査捕鯨は実質的に商業捕鯨であった」ということをデータで示してくれている。例えば東洋経済に寄せられた小松正之氏の記事だ。日本は学術的な調査に必要とされるクジラを実際には捕獲していない。

 ミンククジラは05年度こそ853頭と目標どおりだったが、06年度は505頭、12年度はわずか103頭にとどまっている。ザトウクジラはオーストラリアの反対に屈して一度も捕獲しておらず、ナガスクジラも捕獲枠50頭に対し、捕獲しているのは年1~2頭だ。環境保護団体による妨害の影響も一部あるとはいえ、この捕獲数では鯨種間競合の調査をすることはできず、生物学的な特性値を把握することも難しい。

 実は、日本が捕獲数を減らしているワケは、科学を無視した“需給調整”のためだ。国内の鯨肉需要は低迷しており、在庫も00年末の約1900トンから06年末は約3900トンと積み上がっていた。科学的に算出した捕獲数を毎年捕っていれば、データを分析することができ、科学的な調査であると胸を張って言える。それを果たしていないのだから、実質的な商業捕鯨と批判されても仕方がない。

 要するに日本国内には調査捕鯨で捕った鯨肉がダブついているので、これ以上鯨肉の備蓄を増やしたくない。そこで「調査捕鯨」に必要なクジラを獲ることをやめているというのが実態だったのだ。国内市場の「需要」に合わせてクジラを獲っているなら、それは「商業捕鯨」と言われても仕方ないんじゃないのかな。

 日本人はクジラをもう食べなくなっているのだ。だからとても皮肉な話だが、環境保護団体が本当にクジラを保護したいと思っているのなら、IWCに呼びかけて商業捕鯨を全面的に解禁すればいい。そのかわり、調査名目の捕鯨を禁止するのだ。捕鯨が商業目的になったとたん、日本の捕鯨は滅びるか、規模を大幅に縮小することになるはずだ。かつて工業製品の材料としてクジラを乱獲していた欧米諸国も、今は石油製品に置き換えが済んでいるのでクジラを捕ることはない。高級珍味として一定の需要はあると思うが、おそらく商業捕鯨を再開した方が、全体としてはクジラの捕獲数が減るのではないだろうか。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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