CDは間もなく消える

アナと雪の女王

 『アナと雪の女王』オリジナル・サウンドトラック 【日本版】をオンライン配信で購入した。土曜日にCDも買っているのだが、CDで出ているのは英語版のサントラにMay J.の歌う主題歌をボーナストラックとして収録したもので、日本語吹替版の映画で松たか子などが歌ったバージョンは入っていない。ディズニーの長編アニメは日本語版のサントラが出ることもあるのだが、今回は少なくとも現時点でサントラCDの発売はないようだ。かわりに配信限定でMP3の音源が販売されている。10曲入りで1,800円。買ったら子供は大喜び。まあ喜んでくれるなら結構なことですな……。

 映画のサントラ盤が配信限定で発売される事例は、以前からアマゾンを検索していて少しずつ目に付いていた。映画のサントラ盤は1980年代以降、人気歌手やグループが楽曲を提供するコンピレーション盤が主流になっている。劇伴を収録したスコア盤はそれほど売れないので、CDというパッケージにせずにオンラインで配信販売してしまうのだ。メジャーの作品だとコンピレーション盤とスコア盤を両方売ることも多いのだが、インディーズ作品などはサントラが配信のみという例も多い。

 『アナと雪の女王』は大ヒットしているので、今後日本語版のCDが発売される可能性もあると思う。ただこうした「配信のみ」の事例は、今後どんどん増えていくだろうし、その行き着く先で最終的にはCDが消えることになると思う。

 CDは30年以上の歴史がある技術的には枯れたメディアだし、今でもデジタルデータを持ち運ぶ方法としては安価で、耐久性や堅牢性もあると思う。ただ配布コストはオンライン配信にかなわない。ネットの通信速度が上がってきたことで(ブロードバンドが当たり前になってこの言葉を使わなくなった)、音楽データなどはあっと言う間にダウンロードできるようになった。それが音楽の違法ダウンロードを助長している面もあるのだろうが、世界的な潮流としては、そこに目くじら立てるよりも、音楽データの流通量を増やして収益を上げる方向に向かっている。(日本だけそれに乗り遅れている感もあるけれど……。)

 僕は数年前まで、音楽販売の主流が配信になっても、CDは「贅沢品」や「限定版」として残ると考えていた。そのかわりプレス数は少なくなる。どれだけ人気のあるアーティストでも、CDの上限は1万まででしょう。でないと限定品としてのプレミアム感がなくなってしまう。CDはパッケージの製作やデザイン、流通にも配信にないコストがかかるので、値段は配信よりもずっと高くなる。配信で1,500円で手に入るものも、CDなら3,500円とか5,000円。そのかわり、ファンに対してモノとしての所有欲を満足させるだけのリッチなものを作る。

 たぶん似たようなことを考える人たちもいたと思うんだけど、僕は最近この考えを改めている。CDプレイヤーが世の中から消えてしまうからだ。パソコンの世界では少し前まで、CDやDVDがソフトウェア販売に利用されるメディアの主流だった。だが最近はダウンロード販売が主流になっている。これは音楽とまったく同じ流れだ。その結果何が起きたか。アップルは自社で発売するパソコン(Macintosh)に、光学ドライブを標準搭載しなくなってしまった。MacBook Airには最初から光学ドライブがなかったし、MacBook Proからも光学ドライブを外した。それどころかデスクトップタイプのiMacやMac Proにも、すでに光学ドライブはないのだ。少なくともアップルは「もうCDやDVDの時代じゃないでしょ!」と、光学ディスクというメディアに最後通牒を出しているわけだ。

 もちろん光学ディスクは世の中にこれだけ広く大量に出回っているのだから、それがいきなり消えてしまうこともないとは思う。でも僕はこの目で、フロッピーディスクが消えていく様子を見ている。MOが消えていくのを見ている。ZIPだのJAZだの、わけのわからない大容量記憶装置が、現れては消えていく様子を見ている。(フロッピーより前には、パソコンの記録媒体としてカセットテープを利用する時代もあったんだよ。)

 音楽に関して言えば、僕はレコード盤が消えていく様子を見ている。さすがにSP盤の時代は知らないのだが、それでも昔はレコードプレイヤーに、SP盤を再生するための72回転というモードがあったことを知っている。こんな話が通じる人は、いったいどれだけいるだろうか。そもそもレコードには45回転と33回転があったという話だってもう通じなくなっているような気がする。そうそう、シングルレコードは「ドーナツ盤」と言ったよね。

 たぶん20年後ぐらいになると、その時代の中年男女(現在の20代)が「昔はCDってあったよね〜」「そうそう。うちにもまだあるワ。プレイヤーがないから聴けないけど」などと語り合っていると思う。その時代の音楽ビジネスの形がどうなっているかはよくわからないけど、現在のように楽曲の販売形態が「演奏された曲を録音して売る」という形になったのも、せいぜいここ100年ぐらいの話。音楽ビジネスの形態は、次々に変わり続けているのです。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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