映画館は超過密状態だ!

スクリーン数と上映作品数

 昨日の日記で「映画人口と興行収入の推移」を紹介したので、今回は同じ映連統計データから別の数字を紹介する。それは全国のスクリーン数(映画館数)と上映作品数の推移だ。なお今回作ったグラフでは、スクリーン数と作品数の相関関係がわかりやすいように、作品数のグラフの下の方を少し切っている(原点が0スタートになっていない)。その点だけ、グラフを見る際にご注意を。

 僕が映画批評家の看板を掲げて仕事を始めた1997年頃、日本国内で公開される映画の数は年に600本前後だった。だがその後この数は爆発的に増えて、昨年(2013年)はなんと過去最高の1,117本もの映画が劇場にかかっている。映連のデータで1年に千本を超えたのは初めて。過去最低は1983年の498本だからその倍以上。グラフを見ると、ここ2〜3年ほどで一気に数が増えていることがわかる。

 映画上映本数が増えた理由はよくわからない。業界新聞などを見ていればわかるのかもしれないが、僕はぜんぜんノーマークで知らなかった。今回映連のデータを見て「ゲゲゲ!」と思った次第。これはシネコンで上映されるODS(映画以外のデジタルコンテンツ)が映画の本数の中に加算されているのか、はたまた「午前十時の映画祭」のような新手のリバイバル上映も含まれているのか……。いずれにせよ統計データに出てきているのだから、これは実際に番組数が増えているのだろう。

 しかしスクリーン数そのものは、逆にこの2〜3年で頭打ち傾向なのだ。映連のデータは2000年から「映画館数」ではなく「スクリーン数」を表記するようになったのだが(それ以前のデータは便宜的に映画館数をスクリーン数に等しいものと見なしている)、スクリーン数は2010年の3,412をピークにして少しずつ減少。昨年は一昨年に比べると少し増えたが、それでも上映作品数の急激な膨張を吸収しきれるほど増えているとは思えない。

 では現場ではこれをどう処理しているかというと、ひとつのスクリーンで1日に何度も番組を変えることで対応している。午前中は映画Aを上映し、午後から2回は映画Bを上映し、夕方から2回だけ映画Cを上映するという具合だ。こうした対応ができるようになったのは、映画上映がフィルムからデジタルになったからだ。フィルムで同じことをやろうとすると、映画館のバックヤードはフィルムだらけになってしまうが、デジタルデータならスイッチポンで番組を入れ替えられる。この結果、映画館ではスクリーン数以上の番組を上映することができるのだ。

 でもこれって、ビジネスとして成り立っているんだろうか? 日本の映画人口はさして増えていないのに作品数だけが急増しているのだから、作品あたりの観客数は少なくなっているはずなのだ。映画館は「劇場公開作」にするための箔付けで、実際はDVDで投資分の費用を回収するにしたって、ほとんどの作品は採算割れしているはずだ。映画館が賑やかになるのは結構なことなのだが、これはちょっと異様な事態なんじゃなかろうか。


 午後は『K2 初登頂の真実』の試写。観ている最中から「これってテレビドラマっぽいぞ」と思ったのだが、帰宅して調べたらやはりイタリアのテレビドラマを再編集したものでした。オリジナル版は3時間以上あるようですが、映画はそれを2時間に圧縮。大河ドラマ総集編ほどのダイジェストではないけれど、群像劇で人物エピソードを削っているので、ドラマ作品としての厚みがなくなってしまった。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記 タグ:

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中