ドキュメンタリー映画に感動

夢は牛のお医者さん

 午後は試写2本。1本目は京橋で『曹操暗殺 三国志外伝』で、チョウ・ユンファが最晩年の曹操を演じる時代劇。チョウ・ユンファが大物過ぎて、他の人物がみんな小粒に見えてしまうのだが、これは宮廷政治の中で小物に足を取られ、自分本来の働きができなかった英雄の悲劇を描いているのかもしれない。

 2本目は新橋に移動して『夢は牛のお医者さん』というドキュメンタリー映画。小さな試写室がぎっしりいっぱいになる人気ぶりだったが、これは試写の回数が少ないということもあったのだろうし、普段あまり映画に関係のない人たちが大勢招待されていたということもあるのだろう。

 小学校時代に学校で牛を飼った経験をきっかけに、「大人になったら獣医になりたい!」と決意した少女の物語だ。子供時代に「将来の夢は◯◯です!」と言って、それをそのまま実現してしまう子供はほとんどいない。ところがこの子はそれを実現してしまう。家族の応援を受けながら家から離れた高校に下宿生活をしながら通い、高校時代はテレビを見ないで勉強すると決め、難関の国立大学に一発合格して、やがて新米獣医師として地域に戻ってくる。おっかなびっくり家畜を診ていた新米獣医は、10年後には地域の畜産農家に頼りとされるベテラン獣医に成長している。

 映画ファンというのはことあるごとにテレビを見下して軽んじることがあるのだが、この映画はベースがテレビだからこそ成立し得たのだと思う。取材しては小出しに放送し、その反響を受けてまた取材し……というのを繰り返した結果、26年もひとりの少女の成長を取材し続けていたのだ。(途中で主人公は成人してしまうから、少女扱いするのは失礼だけどね。)

 これは「素材」が良かったというのもあるんだろうけど、その素材を見つけて、愛情を持って見つめ続けてきたスタッフの根気が、この映画の温かさになっているように思う。ドキュメンタリー映画としては奇をてらっているところがなく、昔の「文化映画」みたいな懐かしさもある。素材も素朴だけど、映画も素朴な作りなのだ。音楽の付け方なんてベタベタに甘ったるいしね。でもそれがこの映画のいいところなんだと思う。

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