後だしジャンケン批判について

ラヴレース

 作曲家の佐村河内守がインチキだったということになって、あちこちから「最初から怪しいと思ってたんだよな〜」という声が聞こえてくるようになった。これについて「後出しジャンケンだ」「事実がわかった上での後知恵だ」「後講釈だ」という批判もあるだろうけれど、たぶんこうした「後だしジャンケン組」の中の一定割合の人たちは、実際に当時から「嘘くさい」「インチキっぽい」「あり得ない」と思っていたんだと思う。じゃあなぜその時にそう声をあげなかったのか? それは世間様がそれを許さなかったからだ。

 音楽業界の外側で「佐村河内守なんてインチキだ!」と言っても、それは専門家ではないから無視される。では業界内部でそれを言えたかというと、それもやっぱり無理だったのだと思う。佐村河内守は売れっ子だったのだ。それを業界内部で批判すれば、「妬みだ」「嫉妬だ」「焼き餅だ」と言われるに決まっているではないか。佐村河内守のCDが大ヒットして、レコード会社は大儲けした。演奏ツアーで演奏家たちもそれなりに潤った。そして何より、観客やCD購入者たちはいい気分になれた。感動した。その感動に水を差すのは、野暮ってものでしょう?

 佐村河内守ブームによって、音楽業界はこれまでクラシックのCDなど買ったことがなく、クラシックのコンサートにも来たことがない多くの新しいファンを獲得したのだ。それに対して「あなたが聴いて感動している音楽はインチキです」なんて言うのは、はっきり言ってクラシック音楽のためによくない! もちろんこれは「佐村河内守が実際に作曲活動をしている」という前提での話で、今となってはその前提が崩れてしまったのだから何を言っても仕方ないのだが、少なくとも今からほんの少し前、佐村河内守が全聾の天才作曲家とされていた時期に、彼を批判することは業界のタブーだったんじゃないだろうか。


 午前中に映画評を仕上げてしまい、今週分の試写予定を組む。今週は5本ぐらいかな。途中に1日祝日も入るしね。その後は電子書籍用の原稿にも目を通して少し直す。用事があったので10時頃外出。財布を持ってないことに気付いたのだが、Suicaがあれば移動や簡単な買物は何とかなるのだ。

 午後は試写2本。1本目は1972年のポルノ映画『ディープ・スロート』の主演女優リンダ・ラヴレースの伝記映画『ラヴレース』。『ディープ・スロート』のメイキングみたいな作品なので、『ディープ〜』を事前に観ておいた方がいいのかもしれない。もっとも時代的な文脈から切り離して『ディープ〜』を観ても、ちゃちなポルノ映画としか思えないかもしれないけど。僕は試写を観終えて帰宅してからネットで検索し、海外のポルノ動画サイトで『ディープ・スロート』を観た。あっけらかんとした艶笑コメディなんですね。これが1970年代当時にとてもウケたという理由はなんとなくわかるような気もしたけど……。

 2本目は北村一輝主演の時代劇『猫侍』。テレビドラマ版があるらしいのだがそれは未見。映画は黒澤明の『用心棒』にちょっと似ているけれど(津田寛治の首に巻いたマフラーも『用心棒』からの引用だろう)、まあ映画の最初に主人公が星座だの血液型だのを名乗っているぐらいだから、ジャンル的には昔懐かしい「ナンセンス時代劇」ですね。強面の北村一輝が「百人斬りの剣豪」と噂される男を演じているのだが、ライバル役の寺脇康文も含めてとても剣の達人には見えないのが残念。

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