映像のウソとホント

 Facebookで教えてもらったLGの高精細ディスプレイのCM動画。大型ディスプレイを使ったイタズラ(どっきりカメラ)として単純に面白く、YouTubeを検索したら同じような企画のCMが他にもいくつか見つかった。しかしイタズラとして一番良く考えられているのはこれだと思う。

 まず窓代わりに高精細ディスプレイをはめ込んでも、ほとんどの場合はすぐにそれが平面的な物だと見破られてしまう。理由はそれを見る人の視点が移動しても、それに合わせて窓の外の風景が変化しないからだ。窓の右側に立てば、窓の右側の風景は窓枠に遮られて狭くなり、逆に左側の風景は大きく開ける。左側に立てばその逆の事が起きる。窓から遠ざかれば窓の外の風景は狭い範囲しか見えないが、窓に近づけば窓枠を気にすることなく広範囲を見渡すことができる。

 それよりさらにディスプレイに接近すれば(1メートル以内)、左右の目が作り出す視差による距離感や、目の焦点距離などが、ディスプレイ表面までの距離をかなり正確に教えてくれるだろう。

 そこでこのイタズラがよく練られているのは、カモになる犠牲者が窓に接近できないように、間にデスクを置いていることだ。カモは面接に来ているつもりなので、面接官を見てはいても窓と風景の微妙な関係変化には気付かない。デスクの前の椅子に腰掛ければ、視点は固定されてしまうので窓の外の風景が平面であることがわからなくなる。窓の外で恐るべき大事件が起きた時、窓に十分に接近すればそれが偽物だと気付くだろうが、カモは驚いて窓から後ずさりしてしまうので本物だと思ったままだ。

 メイキング風景の動画を観ると、この部屋のセットは本物の窓より1メートルほど手前にダミーの壁を作り、そこにディスプレイをはめ込んで窓外の実際の風景をシミュレーションしているようだ。面接に来た人はこの部屋に入る前に、ビルの中でのだいたいの位置関係や、窓の外に見える風景を知っている。それだけに、まさかこれが偽物だとは気付かない。本物の窓と偽物の窓との距離の違いは、このぐらいのスケールだと無視されてしまう。

 同じシリーズでエレベーターの床にディスプレイを敷き詰め、乗降中に突然エレベーターの床が抜けるというドッキリがある。これは一瞬驚かれるのだが、その後はカモの視点が変化することですぐにイタズラだと気付かれてしまったようだ。将来的にはカモの視点の変化をカメラでモニタしながら、ディスプレイにリアルタイムで動画をレンダリングしていくような技術も現れるだろうけどね……。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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