「手塚治虫物語―オサムシ登場〈1928~1959〉」

手塚治虫物語上

 図書館から借りている「手塚治虫物語―オサムシ登場〈1928~1959〉」を読み終えた。この本自体は現在絶版になっていて、同じ内容のものが「手塚治虫物語―オサムシ登場1928~1945」「手塚治虫物語―漫画の夢1945~1959」という2分冊で単行本化されているようだ。しかしこれは高すぎる。どうしても新品がほしいという理由がある人以外は、この文庫版を中古で買うか(ただしあまりお薦めはしない)、朝日新聞社から最初に単行本化された「手塚治虫物語 (1928-1959)」の中古を購入するのがいいと思う。

 文庫版に関して言えば、これは判型が小さすぎて通常の「読書」にはまったく向かないものになってしまっている。吹き出しの中の台詞は細くなって読みにくいし、絵に添えてあるキャプションなどはさらに細かな字になってしまった。最近老眼気味の僕はメガネを外し、顔をページにくっつけるようにして読んでいたのだが、これもなんだかなぁ……。結局この問題は、以前購入した読書用ルーペ ブックリーダーを使うことで解消した。この大型ルーペは1年半ぐらい前に買ったのだが、今回ほど活躍したことはなかったぞ。

 さてこの本の内容だが、全部で3部からなる「手塚治虫物語」のうち1部と2部が収録されている。第1部は昭和3年の手塚治虫誕生から、昭和20年8月15日の敗戦まで。第2部は米軍占領下の日本で手塚治虫がささやかにマンガ家デビューするところから、徐々に売れっ子になり、仕事がピークを迎える昭和34年に結婚するまでを描いている。

 手塚治虫はたったひとりで日本のマンガを作り上げてしまったかのように思われがちだが(確かにそうした面が無い訳でもない)、日本には彼に先行するマンガ家もいれば、彼と同時代に互いに切磋琢磨し合ったマンガ家たちもいる。手塚治虫にだって修業時代はあるし、無名時代だってある。大勢のマンガ家たちのひとりだった時代があるのだ。「手塚治虫物語」の第1部と第2部は、そんな若き日の手塚治虫を丁寧に描写していく。手塚治虫がことさら神格化されることなく、悩んだり苦しんだりしながら自分の道を模索するひとりの若者として描かれている。数々の「手塚治虫伝説」も、大げさにならず淡々と描かれているのが面白い。「ブラック・ジャック創作秘話 〜手塚治虫の仕事場から〜」で取り上げられていたのと同じエピソードが、この本でどのように描かれているのかを比較しても面白いと思う。(「ブラック・ジャック創作秘話〜」は、おそらくこの「手塚治虫物語」をかなり参考にしていると思う。)


 三連休初日に横浜の実家に日帰りで帰省。父親がいきなり遺言状を読み上げたのには驚いた。まじめに「終活」しているらしいが、子供の側としてもそろそろいろんなことに備えておく必要があるのかもなぁ……。

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