映画|永遠の0

13121201l 祖母を亡くした姉妹が、戦死した自分たちのもうひとりの祖父の足跡をたどっていく物語。祖父宮部久蔵は海軍一の臆病者と呼ばれたパイロットであり、同時に海軍一のエースパイロットだった。死を恐れ、いついかなる時も生き残ることを願い続けてきた男が、なぜ最後の最後に特攻隊に志願して死んだのか……。

 物語の構成は『市民ケーン』と同じだ。ひとりの死んだ男の実像を求めて、ジャーナリストが関係者をインタビューしていくというのが『市民ケーン』だが、『永遠の0』ではそれが「戦死した祖父の足跡をたどる孫」に変わっている。証言者によって矛盾する言葉の数々。だがやがて、そこからクッキリとひとりの人間の姿、時に矛盾した、苦悩する悲しい人間の姿が浮かび上がってくる。

 主人公宮部久蔵については、『少年H』で水谷豊が演じていた父親と同じだ。戦争という狂った時代の中で、宮部久蔵だけが「家族を守るために自分は生き残らなければならない」という、現代人に通じる価値観を持っている。彼は周囲が初期の戦勝気分に浮かれているときも、ひとり戦争の行く末を見通して憂い顔。戦争末期にはひとり戦後の日本のことを見据え、未来のために若者たち(といっても宮部が死んだときまだ26歳でしかないのだが)を生かそうと努力する。

 夏八木勲はこれが遺作だそうだ。劇中で彼が「あと10年もたてば我々の世代はもうこの世にいないだろう」と言うのだが、ちょっと複雑な気分になってしまった。

12月21日(土)公開劇場

公式サイト ■予告編 ■公式Twitter ■公式Facebook ■IMDb ■映画瓦版

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 映画

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中