映画|かぐや姫の物語

13112301l 高畑勲の新作『かぐや姫の物語』を観てきた。これはすごい。中国に水墨画アニメというのがあるけど、これは水彩画アニメだ。同じようなタッチは『ホーホケキョ となりの山田くん』でも試みられていたけれど、今回の映画はその完成形だと思う。線をきちんと閉じず、淡い色彩で塗られた絵は、観る側との間に適度な距離感を生み出す。かぐや姫が赤ん坊からみるみるうちに美しい少女に成長していく場面などは、このタッチであればこそ薄気味悪くならずに成立しているのかもしれない。

 物語は「竹取物語」の筋をそのまま追っていくが、この映画では原作で正体不明だったかぐや姫の内面に踏み込んでいく。その点でまさに『かぐや姫の物語』なのだ。彼女の喜びが、悲しみが、苦しみが、恐れが、おびえが、映画を観ているこちらにダイレクトに伝わってくる。彼女が求婚者たちに無理難題を押し付けたのはなぜなのか。課題とした宝物を持ってきた求婚者たちを前に、かぐや姫の手が震えている場面は印象的だ。彼女は月世界から来た、人間以上の力を持つ何者かではない。彼女は普通の人間なのだ。十代の女の子なのだ。持ってこられた宝物が「本物である」可能性を、彼女は恐れる。言い寄る男の言葉に心を動かされ、そのまま彼のものになってしまってもいいのではないかと迷う。

 月世界の人々というのは、仏教で言うところの「悟り」を得たような者たちなんだろう。仏教では「愛」は悟りを目指す修行を妨げる執着なのだという。修行を成就するためにも、「愛する者に出会わないことは幸いだ」と言う。でも、かぐや姫は「愛」を知りたいと願う。そして「愛」を知る。それは大きな苦しみを生み出すことになるのだが、それでもこの映画はその「愛」を、それが生み出した大きな苦しみと共に肯定するのだ。

11月23日(土)TOHOシネマズ日劇

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投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 映画

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